2014. 12. 05  
2010.7.13 小笠原と会った
このところ、毎週末は各校を回っているが、先週は以前からやりたいと思っていた「究極のFW・小笠原とのコラボ」を、尾道高校へのアドバイスで実現した。彼とは何年ぶりかの再会で、彼が立命大の監督の際に、「お前がやっているならと、、、」BKを指導しに行ったことがあったが、相変わらずの頑固さ、「首に縄をつけてでもやらせる鍛え」が健在であった。また「寄れ」「固まれ」といった発する指示の言葉が一緒、「嬉しい限り」である。原理原則は、40年経っても変わらんのである。

それでは、「日本のラグビーを考える」の第2章を載せておこう。

2、ラグビーができる身体作りについて
前項のように変な事がなぜ起っているのか、現場に出てみて初めてわかったのだが、現代の若者の身体、および身体機能が、日常生活の変化にも関連して驚くべきことに成っていたのである。故に、ラグビーの技術、戦術、戦略を云々する前に、対策すべきことが多々あるのである。

・身体をつくる際に、留意すべきことは何か
現代の若者は好き嫌いがあり、柔らかいものを食べることが多いので、咀嚼力、内臓の発達が遅く、食事の量が少ない、特に朝食が不十分。また蛋白質はとれているが、炭水化物の摂取が不十分などの傾向があって、鍛えながら身体をつくるには、練習前に炭水化物を十分に取るなど、栄養管理面での留意が必要である。

またウエイトトレーニングのあとに走ると、折角つけた筋肉がおちるので、ウエイトの日は走るなという風説があるらしいが、ラグビーのレベルでは全く問題なく、「ウエイトをやった日は走らないという、走る練習量の少なさ」の方が問題で、便利すぎる日常生活で殆ど身体を使わない現代日本の若者は、全身運動の「走ること」によって、毛細血管を伸し、筋肉を作り、疲労回復システムの増強などを促進することが必要である。

更にラグビーにはコンタクトに耐える筋肉づくりとして、筋肉を故意にずらせて鍛えることや、叩いたり、物に当たってつくることも必要である。たとえば、低い当たりや低いタックルをするには、まずは頑健な肩を「当たってつくる」ことが必要である。高校生でもFWはスクラムの練習をするので三年生になると肩は出来てくるが、BKは当たることが少なく、か細い肩のままと成る、要は身体づくりを如何に重要視して、やり続けさせるかにかかっている。

・身体を効率よく動かせる為に何を修正すべきか
身体の歪み、外反母趾など現代の若者は姿勢を保つということが少なく、普通に立っていても、身体の歪みが見えるものが多い。身体が思った時に思うように動くには、身体の芯が通っており、足の裏が地球を掴んでいる感覚が必要。また手足を伸した時に左右差があるなど身体のゆがみがあると、スムーズに動けないので修正しなければならない。また男でも外反母趾が多い、これは足の縦アーチ、横アーチの崩れからくるもので中敷の活用などで補正しないと、身体を正しく支えることさえ出来ない。

このほか手首、足首の柔軟性、背筋、股関節の精巧さなど、身体が無駄なく、正確に動くよう種々の整備が必要であり、これらのことがスタミナ持続にもつながるのである。
更に現代の若者は、幼少期に外で遊ぶことが少なかったのか、ボールを捕る、投げる、蹴るなどボールゲームの基礎技術が下手。遅まきながらも運動機能向上の訓練、たとえば目や手指の機能を促進させる運動の訓練が必要である。また、倒れる時に手を付く癖があり、安全確保の為には身体を丸めた転び方を教える必要があるなど、まさに昔の子供なら自然に身に付いていたことも教えなければらないほど、手間がかかるのである。
しかし、外で遊ぶことが少なくなったのは若者のせいでなく、遊ぶ場所、一緒に遊ぶ者がいないなどの要因によるもので、特に場所の問題については行政面からの対応も望まれる。ラグビーのグランドは草原であってほしいので、バイオの時代なのだから「日本の風土にあう草の開発」ぐらいなんとか成らないものか。

・身体が積極的に動くには、精神面で前向きな考え方の注入が必要
前項のように身体の補正ができても、精神面の裏付けがないと、うまく動けない。例えば恐怖心で腰が引ける類があり、またラグビーにつきものの「痛い」や「汚い」という感覚も行動を縮こませる。感情が行動を決定していく割合も多いので、これら後向きな気持ちを超越させる為には、その感覚に馴れさせることや、前向きな気持ちで行動できるように、自信をもたせる言葉かけやイメージトレーニングで、心と身体の融和を図ることが必要である。

たとえば、縄跳びで二重跳びが出来ない子供に、縄なしで跳ぶ間に、「かしわ手」を二度叩く練習をさせると二重跳びが出来るようになるなど、意外な方法も思いつくものではないだろうか。これらが日本人の身体機能の特性だった敏捷性、巧緻性を発揮させる源になるもので、このようなベースがないと、その上にいくら練習をしてもスキルは積み上がらないのである。

特に、中学、高校のラグビー指導者は、まさに生徒の成長期に、この身体づくりの面を最重要視して、自らが身体で感じた経験や身体補正の仕方についても生徒に教えられ、精神面でも前向きに行動させられるよう、栄養学、フィジカルトレーニング、整体、メンタルトレーニングなどを、さらには姿勢の矯正、無駄なく動けるようにするという面で、相撲、柔道、古武術などの手法も取り入れるなど、専門家の意見も聞きながら巾広く勉強をすべきである。

これら日本で日本人により何千年もの歴史を積み重ね、練りあげてこられたノウハウは、身体のすべてを使って行うラグビーにとっては、必ずや参考になることで一杯なのである。たとえば、相撲の「四股」は下半身強化に、剣道でいう「半紙一枚」はかかと体重の補正に役立つなど、枚挙にいとまがない。そして一番重要なのは、プレーヤー自身が日々進歩を自覚し感じることにより、次の日も身体づくりをやり続けようと思うことであり、これを感じさせる工夫が、キーポイントである。
次回は「ラグビーに必要な基本的なこと」について、書こう。

横井感想:上記のような傾向は、10数年前から、さらにひどい方向になっている。その上、ウェイトトレーニングなどで外側の筋肉を強化するので、内側の筋肉とのバランスが余計に悪くなり、「身体をうまく動かせられない」傾向にあるように思う。専門家とよく検討すべきと思うこと、シキリ。


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プロフィール

Yokoi Akira

Author:Yokoi Akira
横井章(よこいあきら)

ラグビークリエイター
現役時代は左CTB、ジャパン10年で17キャップ
    (当時は、キャップ対象試合が少なかった)

1968年、オールブラックス・ジュニアに勝利
1970年以降5シーズン日本代表の主将を務める
    (いまだに、歴代最長記録)
1973年、英仏遠征、日本ラグビー史上初の海外
     テストマッチ、当時世界最強のウェールズ
     と対戦、写真は、その時の幻のトライ
2000年、現場に戻り、100数チームにアドバイス

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