2014. 12. 14  
2010.7.15「続15日(何が問題か考えよう)」
約束通り、第4章を記載しましょう。

4.練習内容で改善、あるいは追加すれば良いのにと思うこと

・タックル
昔、早稲田のグラウンドに、人の形をしたタックルバックを木枠から吊るした練習具があった、吊り金具はタックラーが肩で正しく当たり、その瞬間にしっかりバインディングして全身の力が集中していると、金具が外れ人形と一緒に倒れてタックルが成立するが、集中してないと金具、人形が外れず、タックラーは人形にぶらさがったままでタックルが成立しないというものだったが、この「タックルポイントに肩で当たり、その瞬間バインドして全身の力をかける」のが重要である。

ところが最近「攻撃側に有利なルールの下では、低いタックルをしても上でボールを生かされるので、胸で敵の上半身へ当たってボールを殺せ」という指導が多い。本当にそうなのか。まず敵に届くかどうかを考えた場合、下へいくのと上へ行く時の足の位置を見れば、どちらが有利か自明の理であり、また自分より大きくて上半身が強い敵に上へいくと、結局はねかえされてボールを生かされる。やはり、敵の一番弱い腹にはいって仰向けに倒せばボールコントロールも狂わせられるはず、また堅くバインド出来れば必ず倒す事ができる。

特に小さいものが、大きくて強い敵にむかうには、まず、下へのタックルで足をとめ、倒れなければ二人目が上へいってボールを殺すとともに倒さざるを得ないのではないか、いずれにせよ倒さなければボールのゲットは難しいのである。一人に二人かかった分は素早く立ち上がって、走りでカバーすれば良いのではないか。故にまず「前へ出て行う低いタックル」を練習すべきである。また「バインド」を重視して、必ず腕が回るタックルバックで練習すべきである。特に関東以外ではグラウンドが固く砂まじりで手の甲が痛いので、対策を考えないと徹底しない。たとえば軍手をはめてやるのも一方法である。

・タッチフットボール
アップがわりにやるタッチフットでは、高い姿勢のままで、また離れてサポートして、つけない時は再度球出しすればよいという悪い癖がつきやすい。この高い姿勢が諸悪の根源であることは、前にも述べたが、もう一つの「離れてサポートする癖、またサポートできない時は次の球出しを待つ癖」の修正も大変難しい。最近の連続ラック中心のラグビーで、横一線のディフェンスに対しても同じく横に開いてサポートし、なかなか突破出来ない。

なぜ寄るサポートにし一点集中、縦への突破を狙うことをしないのか理解し難いが、この「寄る」ことが不得手ということも一つの要因ではないか。故にタッチフットをする時でも、タッチは腰に両手でするとか、攻撃側がタッチされても次にサポートする者が寄るまでは続けて、その後に球を出すことにするとかの工夫をすればよいのではないか。効率的な練習方法はどんどん取り入れるべきだが、その際は自チームの課題解決にも同時に対策できるように考え、オリジナルな練習にしたいもの。

・ボールへの走り込み
多くの人は「ボールを受ける時は常にトップスピードで」と言う。しかし、トップスピードが強調されすぎると奇妙なことが起る。全速力で走ろうと下半身がガチガチに緊張、それが上半身にも伝染して実際にはボールを受けられない。あるいはボールを捕っても敵が前に来た時かわすことも出来ない。もっとひどいのはトップスピードになるのに時間がかかる者が、状況も見ずに行動を起こす、たとえば,SOがボールを受ける以前にオープン側のWTBが深い位置からスタートする類のことが見受けられる。(もしSOでミスったら,WTBは即応できるのか?)プレーは状況に応じたポジションから、最効率のスピードで行うべき。

また身体は緊張とリラックス状態の繰り返しであり、難しいプレーはリラックスした状態でないとうまくいかない。故にボールを受ける前はリラックス、そして第一優先に考えるのは「ボールの確保」と言うべきである。この際もうひとつ重要なのが「眼の動き」である。ボールが遠くから手元へ来るまでを視る動体視力、状況判断をする際の周辺視力、サポートの味方を感じる第六感、いずれも日頃から動いているものを見る、近くと遠くを同時に見るなど、鍛えれば必ず向上するし、眼に見えないものを感じる第六感さえも、繰り返し実戦的なシチュエーションにて体感することで必ず研ぎすまされるので、この種の練習の追加が必要である。

・突破の練習
突破も最近は力ずくで当たりに行く。抜きにいって駄目な時は当たりにいってボールを保持できないといけないので、当たりは必須であるが、早く次の段階に進んでほしいもの。抜くことで最も重要なのは「間合い」であり、外を抜く間合い、内を抜く間合い、間合いの詰め方、走る角度などを先ず教え、日本人の敏捷性を生かせる接近戦を目指すべきである。さらには、二人以上の連携でボールが空中にある間に行う「抜きの仕掛け、カットイン、カットアウト」は基本であり、是非マスターしてほしいものである。

そして一番やってほしいのは、タックルされてからのボールの生かし方で、現ルールではワンプレイできることを最大限活用したいもの。当たることを意識せずに当たればスピードは落ちず、肩で当たって立っていられる空間をつくればボールを保持でき、ケガをしない倒れ方で安全が確保できると感じれば、パスやホップ、ダウンボールに専念出来るのである。倒れる時の安全のため、柔道の受身、バレーの回転レシーブなども参考にすべきである。

また突破には、このキャリアーにサポートする者が重要で、その存在そのものがキャリアーの突破を助け、キャリアーが捕まった時はサポーターが間隙なく「寄る」ことで、保有を継続できるはずであり、この「寄りのさまざまな形」をディフェンスの状況に対応して出来るように練習したいものである。

・状況判断、コミュニケーション
ゲームが継続するラグビーでは、状況に応じたチームプレーヤーとの連携プレーが最重要だが、これが不得手な若者が多い、「指示待ち、自己中が多い」といった若者への指導法検討が必要。
たとえば、最初から様々な状況に瞬時に対応させるのは無理で、まずは想定敵の攻撃パターンに対するディフェンスをパターン化して、各自の役割を細かく理解させ、さらにチームプレーヤーとの連携を各自が声を出すことによりできるようにすれば、ある程度のディフェンス連携プレーができるようになる。攻撃も同様で、チームの実力にあわせ、地域的、時系列な観点も留意した第一次から二次の攻撃パターンのいくつかを選択して実行できるように指導するのが、今の若者には理解しやすいようである。

しかし、これだけでは駄目で、この練習の中で基本技が正確にできているか、その都度指摘して是正するとともに、アタックディフェンス様式でもやらせると良い。その際双方にミスが起った時でも、その処理が終わるまで継続させ、イレギュラーな状況にも対応出来るようにすれば、その精度はあがる。特にパターンどおりにいかないとか、ミスがあると「練習にならない」と止めてしまうプレーヤー、指導者が多いが、アドバンテージルールのあるラグビーでは、この時こそがチャンスであることを理解させ、そのイレギュラーな状況に即応できるか、どうかに注目し練習させるべきである。

また明日は、最終章チームプレーについて」を載せよう。なお、再度言っておくが、この文章は私が現場復帰した10年前の1年後、即ち9年前に書いた文章である。それでも色褪せないのはなぜか?考えてほしい。


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プロフィール

Yokoi Akira

Author:Yokoi Akira
横井章(よこいあきら)

ラグビークリエイター
現役時代は左CTB、ジャパン10年で17キャップ
    (当時は、キャップ対象試合が少なかった)

1968年、オールブラックス・ジュニアに勝利
1970年以降5シーズン日本代表の主将を務める
    (いまだに、歴代最長記録)
1973年、英仏遠征、日本ラグビー史上初の海外
     テストマッチ、当時世界最強のウェールズ
     と対戦、写真は、その時の幻のトライ
2000年、現場に戻り、100数チームにアドバイス

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