2014. 12. 18  
2010.7.17日本代表を少年期からどう育てるか
前日のアイディアの続きであるが、実際出来るかどうかなど考えていたのでは、アイディアがしぼんでしまうので、これから述べることの実行についてはラグビー協会なり、地域行政なりが考えて貰うとして、話をすると、、、

日本では、「クラブ組織」というものが、育つ土壌が少ないのが、残念だが、各都道府県にひとつくらいは、「ラグビー クラブ」をなんとかしてつくれないものか?(クラブのようなものでも、クラブ風でも、何でもよい、、、)地域協会が中心であろうが、行政主導であろうが、はたまたトップリーグのチームの下部組織であろうが、それは任せるとして、「クラブ風ラグビークラブ」が、出来ないだろうか。

即ち、お金のことはお任せするとして、 「芝のグランド一面」と「指導者」さえ確保できれば、可能である筈である。そして、その「クラブ」は、その地域内のラグビースクール、或いは小学校、中学校など各レベルの一般のチームからエリートを20~30人くらいづつ集めた「各レベル選抜1チーム」として構成し「将来の日本代表候補に育って貰うよう、コーチングも統一された考え方で、きっちり育てる」ことにすれば如何?

また、その上の義務教育を済んだところでは、今できるかどうか知らないが、(出来なければ出来るように学校法でもなんでも変更するとして)「全寮制のラグビー専門高等学校」を創っては如何?この段階では、「文武両道、本当のラグビーエリート」に絞り込んで、ラグビー英才教育を行い、トップリーグに即直結も可能とする。(但し全国高校ラグビー大会には不出場?)

即ち、今子供を安心して遊ばせることが出来ないからという理由が主で行われている「ラグビースクール」の一般生は、ラグビー普及と、将来のラグビーフアンの確保という面で、ラグビー界に貢献をお願いする事として、「将来の日本代表を少年期から育てること」とは、分けて考える必要があるのではないか?

以上、この考え方は「私の独断と偏見」に満ちており、一般の方から見れば、大変差別的に見えるかもしれないが、これぐらいのことを考えなければ、諸外国のラグビー環境・例えば「U20のイングランドチームは全員プロ」という現実には対抗できないのではないか?
この辺のアイディアについては、ハイパフォーマンスマネージャーにも提案してあるが、2019年までに、どれほど進むやら?期待したいもの。


なお、私の既に公表した文章は、一応時代の古い順に紹介していきたいと思います。今日は、前回2007年のラグビーワールドカップに向かうジャパンに提言した「ジャパンへの提言」(ラグマガに掲載)。

ジャパン、守りはだいぶ良くなった。カーワンが指導するようになって、前へ出るようになった。(ニュージーランドで語り継がれている昔のジャパンの究極のシャローディフェンスを知っているからか?)
「前へ出れば前でディフェンスの網ができる」から、抜かれても他のプレーヤーが反応できる。相手のフェイズが1、2回のところまでは止められるようになった。まだ一発で抜かれるとか、フェイズ3、4回となると不安定になるところは直さなくてはならないが。今の選手は、みんなで手をつなぐように守らないと不安になり、そういうシステムでやってきているので、前へ出るという面では一番遅いプレーヤーに合わさざるを得ない、故に今後は、如何に全員のレベルを上げられるかが課題だろう。

また力が互角ならシステムでも止められるかもしれないが、海外の強豪は、むしろ攻撃が以前より上手になってきたから、一対一のディフェンスを、もっと仕込まなくては止められないのでは。体力が上への敵には、また前へ出るには、もっと肩でタックルすべきだ。足の位置を考えればわかるはず。肩でヒットする姿勢なら相手と自分の足の位置に50㌢くらいの距離があっても届く。
それだけタックルするポイントを前へ出せて、この数十㌢が、2人目、3人目と重なると大きな差となり、チームとして前へ出られる。
さらに、肩で入れば自分が上になって倒れられ、ボールにも、すぐからめる。
しかし、ジャパンに呼ばれるような選手は、国内ではティンバー(相手の上半身へ腕で止めに行く)で通じるので、自分のチームでは、あまりそういう練習をしないのではないか。だから、ジャパンとして、取り組む必要があるのではないか。

もうひとつ、ディフェンスの出足における「3段走」を身につけなくてはならない。初速-見る-再加速(トップ-ウォッチ-トップ)を反復して、一直線に走っているようでも、きちんと「見る」ができているレベルまで、、、ゼロからのスタートで、最も早くスピードに乗るためには、必然的に低い姿勢からになり低さを求める意味でも、初速の意識は、 大切だ。カーワンが、低い姿勢を
スローガンにしているのは結構だ。

W杯までの時間を考えたら現行システムでいくしかない。内から外へ追いながら前へ出る現在の方法にあっても、①初速を増す②タックルのバインド力を高める――ことは可能だと思う。パシフィックネーションズ・カップ(PNC)でも、高いタックルになると、ことごとくバインドが外れてしまっている。(ノットロールアウェイの)ルールの限界のところまでは、しっかりバインドして身動きを許さないような研究をしてほしい。ボールを殺すはずの上へのタックルで、逆にボールのコントロールを自由にさせている。

この段階では、ジャパンの防御システムの是非について言っても、仕方がないので、一般論として述べるが、いわゆるシャロー防御(正面からのマーク・トゥー・マークを基本として前へ出る)は、敵より走力、体力が劣るチームが
やれば、現在でも効率的である。ことに日本国内ではアタックの技術が低下しているので、思い切り前へ出られれば、攻撃側にプレッシャーを与えてミスを誘発させられ、上手くいけばディフェンスでもトライがとれるアタッキング・ディフェンスとなる。
特に1次ディフェンスでは数を合わせられるのだから、外側に立つ選手がより前へ出て、深いラインの相手への空間を埋めてしまうと、そのことによって、前へのバッキングアップは可能となり、オフロードの芽を摘むことにもなる。
もちろん2次以降で、食い込まれた場合、余らされた場合には「ズレル」という手も持っていなくてはならないが、それでも、 1対2や2対4は無理にしても、4対5、5対6なら、まだシャローのほうが有効なはずだ。
ドリフトや、待ちの防御だけでは、さしたるスキルもない体力だけのチームにでも、ドーンドーンと体力勝負でフェイズ重ねられると、最後はディフェンス側が疲弊してしまう。体力が劣る側では、前へ出るシャローと待ちディフェンスと、状況により、どちらが効率的かを考える必要があるだろう。

アタックについては、前提となる問題がある。トップリーグの選手の80~90㌫はスクール出身らしい。子供のころから土のグランドで練習していて、転ぶと痛いので、前に敵がきたら本能的に手を出して自分の体をかばう癖がついている。手を出した瞬間、日本人は片手で確実なプレーをするのが難しくなるので、プレーを放棄したことになる。ジャパンの選手でも、自分より背の高い外人相手では、国内では出来ていたオフロードパスが難しい。
むかし私がやっていた「低い姿勢で当たりながら、両手で球を生かす」ことも出来ない。これが出来ればタックルされてもボールが放せてモール、ラックのないスピーディなゲームが出来るのだが、短期間では難しいだろう。しかし、これも直すには、「箸の間違った持ち方を直す」のと同等の根気がいるが、「両手でプレーする」ことくらいは、心掛けたいもの。

アタックを現実的に改善するなら、まずサインプレーの数を減らすことだろう。ゲインラインを切る力のある人間を生かすサインプレーをせいぜい3種類くらいに絞り込み、同じメンバーで習熟していく。とことん突き詰めれば、パスがそれても、球出しが乱れても、一連の動きの中で対応できるようになるのでは、、、次の手や、裏の手も、打てるはず、、、
9月までなら一つか二つが限度かもしれないが、キックパスとあわせて2~3パターン。それでも良い、ともかくシンプルで力強いサインプレーに徹していく。器用な日本人で仕掛けて、強い外国人をフィニッシャーに使っては如何。
いずれにしても、ディフェンスが増えていく多フェイズの突破よりも、ジャパンは1次攻撃での突破の研究と習熟に、力を傾けるべきだ。(世界のラグビーでも、トライの50㌫以上は、1次攻撃であるとの統計有)1次でゲインを切れば、循環が良くなるのだから。オーストラリア流のフェイズを重ねて、真綿で首を絞めるようなアタックは、ミスなくできれば、効果的な方法だが、ジャパンにとっては、効率的かどうか。個々の力が少なくとも互角以上でないと、厳しいのではないか。

PNCでは、ジュニア・オールブラックスとオーストラリアAを除く相手と比べれば、ジャパンのほうがフィットネスで上回っていた。そうであるなら、Pからの速攻、カウンター攻撃を仕掛け、攻める機会を増やすべきだったのではないか。逆に自分たちよりフィットネスが上の相手と戦う場合は、自陣からはキックと割り切り、敵陣敵ボールでのディフェンスでも、セットの1次ディフェンスなら前へ押し上げ、相手の攻撃を止められるという確信でやり、敵陣に入れば、1次攻撃で必ずゲインを切る良い循環に持って行って、敵陣で攻め続けられる展開を目指すべきではないか。但し、これでも攻める機会が少なすぎるとか、リードされている状況なら、Pゴーやカウンターでも攻めて勝負すればよい。

それともうひとつ考慮すべきは時系列な攻防の考え方で、外人はゲームに入ってからコンディションを整えていくというところがあり、立ち上がりが遅い、そのかわり、狩猟民族的な彼らは獲物を追い詰めるごとく、終盤に、あるいはリードされているところで、目の色変えて物すごい力を出してくる。これを考えると、ジャパンとしては最初の20分で先行リードし、敵が最高潮になる最後の20分を守りきって勝つという、マネージメントもあり得るのではないか。

いずれにしても、自分の力と相手の力を深く考え、何が一番効率的かを見極め、それをプレーヤー全員の役割どおり実行できるようにする。それが「戦いの本質」なのではないだろうか。 

次回は「日本のラグビーを考えるⅡ」を紹介しよう。


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プロフィール

Yokoi Akira

Author:Yokoi Akira
横井章(よこいあきら)

ラグビークリエイター
現役時代は左CTB、ジャパン10年で17キャップ
    (当時は、キャップ対象試合が少なかった)

1968年、オールブラックス・ジュニアに勝利
1970年以降5シーズン日本代表の主将を務める
    (いまだに、歴代最長記録)
1973年、英仏遠征、日本ラグビー史上初の海外
     テストマッチ、当時世界最強のウェールズ
     と対戦、写真は、その時の幻のトライ
2000年、現場に戻り、100数チームにアドバイス

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