2010. 07. 19  
第2章、「日本のラグビー現場を見て」を載せよう。

2、日本のラグビー現場を見て

最近、日本の大学、社会人ラグビーの現場を見て感じたことは、国内外のラグビーの情報がすぐわかるからか、どこのチームも自チームの選手能力にあった独自の戦略、戦術、を熟考するというよりも、今世界で流行しているスタイルのラグビーを目指すということが多いようにみえる。 
その結果、敵より走力、コンタクト力もないのに敵の出方をみてゆっくり出るディフェンスをしたり、正確で素早いロングパスも出来ないのに、ワイドポジション一辺倒でやるアタックを行う、などが多くみられ、なぜもっと自分の身の丈にあったラグビーを模索しないのか、不思議でならない。

たとえば、トップリーグなども外人コーチ、外人選手が必ずおり、どうしても彼らの考え方中心の戦法になりがちなようである。
しかし、陸上の為末が言っているように、「日本人の骨格と外人の骨格は違い、日本人は前傾姿勢で走った方が良い」のに高い姿勢のままで走るなど、「身体の出来、ものの考え方、思考のプロセス、よってきたる文化」など、すべて外人とは違うのに「心と身体が連動するラグビー」を外人の指導のままにやろうとしているのには、無理があるようにみえる。

現場をみて、ちょっと日本ラグビーに合うのかなと思うことを列挙すると、、、

①外人コーチは短期に成果をあげることを要求されるため、その戦法や、練習方法が日本人プレーヤーにあっているかどうかを考える暇なく、俺達はこうしてきたからと押し付けているようにみえる。あるいは、こんなサイン、練習方法があると、全部やりたがる。
その結果、日本人プレーヤーは、その練習方法やサインプレーを覚えるだけで精一杯で、短くなった練習時間の中では、その本当の意味も分からないまま練習を消化するだけにとどまるようにみえる。また数多くのサインプレーを年間同じメンバーで数回も練習出来ず、習熟などとはほど遠く、結局ゲームで使うとミスを頻発させるようにみえる。

②外人コーチに、3対2のアタックディフェンスの練習で、「厳しい相手なら捕まる場合、あるいはミスをすることもあるのだから、その場合の練習もすべきでは、、、」と言うと、「うまくやれば捕まらずに出来るはずのものを、できないのは選手が悪い。ミスを前提とするようなネガティブな練習は必要ない」と言う。
「いや、捕まっても、あるいはノッコンじゃなくウシロにそらすようなミスがあっても、そこからボールを動かすことが出来れば、それを予想していない敵なら、逆にチャンスになるのだから、その方がポジティブな練習だ」とやらせたことがあった。

③外人の教える練習方法には、ラグビーボールでハンドボールゲームをやらせるようなものが多く、それ自体は視野広い判断を訓練するものでよいのだが、日本人にやらせると、その意味を理解しないまま、どうしても「遊び」になってしまい、ゲームでの状況判断の練習にならず、かえって自分の走っているコースを自覚できずに、ゲームでスローフォワードを平気でする欠点を助長するようにみえる。

④外人コーチは、最近のラグビーにフィットネスは要らない、例えばグランドを左右に分けて役割分担すれば良いと言う。15人のオールラウンドプレーヤーを揃えられる彼らはそれで良いかもしれないが、日本のラグビー界では、例えばかなりのレベルまで、ディフェンスのアンマッチ(BKのアタックにFWの第一列のディフェンスでは抜かれる)が起こる。各ポジションに必要な身体能力、専門技を鍛えて、ポジションごとの精度を極限まで高めた職人ラグビーとオールラウンドプレーヤーを揃えて大まかなラグビーをするのと、どちらの方が日本ラグビーに向いており、より効率的かは、自明の理であろう。

⑤ ほとんどのチームは15人中の2人の外人選手に、突破役をやらせるため、外人選手のレベル、好不調により、ゲームが左右されるようにみえ、さらには、日本人プレーヤーは彼らに頼るため、自分でディフェンスを切り裂いていくというスキルアップの機会を自ら放棄しているようにみえる
などいっぱいある。

たしかに、オーストラリアでは衛星通信で選手を追跡し、その軌跡を調べて考えるなど研究は進んでおり、そういった研究成果の中で、日本人の身体や考え方に合致するものはドンドン取り入れるべきだが、その根本の意味合いを斟酌せず、ただ真似をするのは考え物である。

要するに、日本人の考え方、文化などに精通していない外人コーチに、丸投げして指導させるには限界があるのではないか。心と身体が連動するスポーツ・ラグビーは、メンタル面を含め日本人コーチがヘッドでやり、全体方針に乗っ取ってパートパートを任せるべきではないか。

練習方法についても、日本人の選手が考えやすいように、出来る限りゲームシチュエーションでやる方がよいのではないか。また外人選手の使い方についても、突破の仕掛けは日本人でやれるようにしないと、外人に頼っていては、何時まで経っても日本人プレヤーは進歩しないのではないか。
そして、各チームとも、持てる戦力に合った独自の戦略、戦術を熟考し、それを当面の敵のレベルを勘案して、完遂できるようにすべきで、ゲームに即した練習方法も独自に考え出すべきではないか。
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プロフィール

Yokoi Akira

Author:Yokoi Akira
横井章(よこいあきら)

ラグビークリエイター
現役時代は左CTB、ジャパン10年で17キャップ
    (当時は、キャップ対象試合が少なかった)

1968年、オールブラックス・ジュニアに勝利
1970年以降5シーズン日本代表の主将を務める
    (いまだに、歴代最長記録)
1973年、英仏遠征、日本ラグビー史上初の海外
     テストマッチ、当時世界最強のウェールズ
     と対戦、写真は、その時の幻のトライ
2000年、現場に戻り、100数チームにアドバイス

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