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2015. 02. 27  
2010.7.27なぜ、勝ちにこだわらないのか?
「日本のラグビーを考えるⅤ」の第2章を載せよう。

2、なぜ、勝つことに拘らないのか?  

同好会や、OBのゲームは別として、体育会チームは当然、「ゲームに勝つ」ことを目指している筈なのに、
「我がチームは、どこからでも攻める理想のラグビーをやるんだ」とばかり、ゲームの最初から最後まで展開したりとか、
リードしているが、「時間つぶしは、潔しとしないから」と、展開し続けて、逆転されたりとか、
逆に、ゲーム終了5分前で、4点リードされてるのに、陣地を取りに蹴って、ボールの保有を放してみたり、
「勝つ気がないのか?」と思えるプレーが行われることが多い。

すなわち、スポーツは、 「彼我の実力差を考えて、勝つ為の戦略、戦術で
臨み、勝利する」ことが目的であり、
現実の敵に勝つ戦法こそが、「理想の戦い方」ではないのか?

ずいぶん前のラグビーワールドカップでの話だが、当時世界最強と言われたオールブラックスに対したフランスが、ディフェンスゲームを挑み、198本のタックル決め、アタックはグラバーキックを主体にインゴール勝負を仕掛けて、大番狂わせの勝利をあげたことがあったが、その時のフランスにとっては、その戦法が「理想の戦い方」であった筈である。

またオールブラックスが、ジャパンを145‐?と完膚無きにまで粉砕したが、「ゲームの最後まで実力を出し続ける」、これこそが、 敵に対する礼儀では
なかろうか?

また、これもずいぶん前だが、日本のトップリーグで、やられた方の監督が、 敵のモールに拘った戦いぶりに、「あれは10年前の戦い方だ」と言って非難したことがあったが、
私は逆に、この監督は「何のためにラグビーやっているのだろう」と、 疑問を抱いたものである。
その時のチームにとっては、その時の敵に勝つ戦い方が正解で、それをやり続けて勝って、なぜいけないのか?

ここで重要なのは、「彼我の実力差をどう判断し、それをどうするかである」、
例えば、前述のフランスは、どう考えてそうしたのか?
私の推測では、「コンタクトフィットネス、ランフィットネスで劣位なら、難しい
アタックより、簡単なディフェンス中心のディフェンスゲームをやろう」
「ロースコアのゲームに持っていき、敵の点数を上回るトライを取るには、敵ゴール前で、前に仕掛けられるグラバーキックというシンプルで力強い攻めで徹底しよう」と、 考えたのではなかろうか?
「攻めて失敗して『心が折れる』より、ディフェンスしまくって、『止めた、止めれた、ディフェンスで前へ進んだ』と自らを鼓舞して 、198本のタックルを決め、敵の強いディフェンスの裏をねらっては、 『してやったりのグラバーキック』で、トライをとった」のではないだろうか?

要するに、なんの要素が劣位で、その劣位の差をどう最小限にし、さらに、 劣位であっても「これだけは出来るのでは?」ということを徹底し、勝ったのではなかろうか?

すなわち、どんなレベルのチームでも「敵に勝つ」という「目的」のためには、 敵との間で「何が問題なのか?の問題摘出能力の発揮」と、「その問題解決能力の実行」が求められるのであり、
どんな弱小チームでも、それなりの敵チームを探して「その敵に勝つ」、それを楽しむのが、スポーツではなかろうか?

そして、それが達成されることが、「感動を生む経験」となり、後の「人生の糧」になるのではなろうか?

次回は、第3章勝つためには、何を考えねばならぬか?」を、述べよう。


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プロフィール

Yokoi Akira

Author:Yokoi Akira
横井章(よこいあきら)

ラグビークリエイター
現役時代は左CTB、ジャパン10年で
17キャップ、当時キャップ対象が少なかった

1968年オールブラックス・ジュニアに勝利

1970年以降5シーズン代表主将(歴代最長)

1973年英仏遠征、日本ラグビー初の海外
テストマッチ、世界最強のウェールズと対戦
上の写真は、その時の幻のトライ

2000年現場へ戻り、100数チームを指導

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