2010. 07. 25  
続いて、「練習のなぜ?」第3章を、載せよう。

3、最近の練習で、少し変だなと思うこと。

①なぜ、マーカーを置いて、その通りやろうとするのか?

たとえば、ストレートランでパスする練習をするのに、あえて内側へ走るようにマーカーを置いて走らせ、なお且つ外側へパスせよとやらす。
何故、内側へ走らすのか聞いてみると、ゲーム中ゴールラインに直角に走れないものだから、あえて内側に走ってまっすぐ走れるようにするのだという。それこそ、今どちらを向いて走っているのかイメージすることの妨げになるのではないか?
そもそもゲーム時にはマーカーは置いてないのである。自分がどちら向いて走っているか?それを認識しながらやることこそ練習ではないのか?練習方法を最初に教える時くらいはマーカーを使うのはやむを得ないとしても、できる限りプレーヤーが自分で、グランドをどう使うかイメージできるようにマーカーなしでやらせるべきではないのか?
また、内側へ走って外へパスしろなんて、BKでも難しいのに、FWにまでそうやらす。
それよりゲーム時は少し斜めに走った状態から、まっすぐに走り、次に外に向かって一歩踏み出してパスをするという方が、余程実際的で、なお且つ、今のプレーヤーの苦手な「外へのサポートへすぐに行けるように」、練習させるべきでないのか?

②なぜ、シークエンスに書いて、その通りやろうとするのか?

前項と似たようなところであるが、数次のアタックの配置をシークエンスに書いて、その通りに動く練習をするチームが多い。
たとえば、5次のアタックをシークエンスに書いて、接点となる予想のところに、ダミーを持ったディフェンサーに見立てたプレーヤーをおく、そしてアタック側が攻撃を始めるが、2次3次になると接点予想と合わなくなる。
そこで何が起こるかというと、アタック側がダミーを持っているところへコースを変えて、当たりにいくのである。また5次目はディフェンスが居なくてパスをするのだが、前へ進んでいてインゴールで回しているのである。

これで、どんな弊害が出るかというと、実際のゲームでも5次のアタックをやり続けようとするのである、それだけのつなぎをミスなく出来ないのにである。
また、その間に自分の目の前に「抜けるスペースが出来た」のに、そこをつかずにシークエンスをやりとおそうとするのである。
また、インゴールでパス?こんな変なラグビーが、ある筈がない。

これでは、プレーヤー自らが自分の前の状況を判断して行動するという、ラグビーの最も重要で、最も特徴あるところを、自ら放棄しているようなものではないか?
あるチームでは、15-15でキックゲームをやらせたのだが、「横井さん、これをシークエンスに書いて下さい」と言われて、唖然としたことがある。
これも、論外である。

③年に数回も練習しないサインや、ムーブを何故やらせたがるのか?

チームによっては、基本的なムーブやサインを入れると10を超えるものをやろうとする。昨今練習時間が短くなり、たとえば、パートの練習で、なお且つ、BK全員のラインアタックとなれば、週の練習日の内の1~2日で、時間にして何分もない状況で、また怪我人やメンバーが変わることを考えれば、「同じメンバーで、同じムーブを年間何回練習できるのか」という状況で、なぜそんなに多くのものをやろうとするのか?
当然練習不足で、ゲームで使えばミスをするのがオチである。
できる限り絞って、但し少々ボールの出のタイミングが悪い状況でも完遂できるようにすべきではないか?

④何故、練習でプレーヤーの持てる力の100%を出させようとしないのか?
 
練習でミスをすると、即「アゲン、練習にならないじゃないか」と怒る指導者が多い。しかし、実際のゲームでは、そういつもうまく行くのだろうか?確かにミスの原因、責任の所在をはっきりさせるのは、当然重要であり、腕立てなど罰を与えるのも必要であるが、もっと重要なのは、練習では、自らの能力の限界まで挑戦させること、あるいは経験し得ていないことに挑戦することを恐れさせないことではなかろうか? 
怒り過ぎると、プレーヤーがミスしないように80%の力でやろうとするなら、本末転倒だろう。

また、そうして挑戦させたことで起こったミスは、きっちりミス処理させた後で、アゲインすべきであろうし、たとえばパスがそれただけで、ノッコンにならない場合などは、続行させてやる練習をやるべきである。実際のゲームでも、その場合の方がチャンスになる場合が多い。

さらに、もっと積極的に、プレーヤーが経験し得ないスピードに挑戦させる練習(たとえば坂道を走り下りるなど)を行うべきである。
また常にゲームと同様に負荷をかけた形で練習させるべきでないか?たとえば、キックの練習といえば、二人が向き合って待ち構えているところへ蹴る。そんな練習をしているから、ゲームで蹴ったボールが敵のいるところへ行くのではないか?待ち構えていないところへ蹴る方が、捕る練習にもなって効率が良いのでは?

また、よくあるのがアタックディフェンスの練習で、「タッチですか?ホールドですか?ガチですか?」「何本やるのですか?」という質問である。
まずタッチなんて高い姿勢のもとだから、やらせるべきでない、最初にムーブを教えるのにホールドでやるのは仕方がないとしても、ゲームのための練習なら、基本的にはガチだろう
高校生までは身体の出来具合などあるので、ホールドでやる場合もありかと思うが、早く身体が出来るように推進すべきである。
「ケガ」というのは、前向きな気持ちでやれば、身体は自然に対応能力を発揮するものだから、却ってケガしないものである。ホールドなんて中途半端なやり方の方が、ケガしやすいというのも真理ではなかろうか?

もうひとつの「何本?」と聞いた奴の心理は、「3本なら、3本出来るように、
80%で3本やろう」と計算する者が多いということである。
しかし、練習というのはそういうことだろうか?「何本であろうが、一発目から自分の100%以上を出そう、そのあと50%に落ちても限界に挑戦することが重要だ」
と思うように、指導すべきではなかろうか?

⑤なぜ、気の向かない練習をやらせるのか?

年齢の高い指導者は、自分の経験で、きつい、しんどい、いやな練習こそが、克己心も鍛えられて良い練習だと考え、それを今の若者に強要しがちだが、本当にそうだろうか?
確かに基本技を根付かすには、繰り返し反復練習が必要なものが多いが、それでも飽きが来ないよう目先を変えて、実は同じことを鍛えてるといった工夫をしたいものである。

また、プレーヤーがいやだなと思う練習は、結局は身に付きにくい
たとえば、誰もディフェンスの練習は嫌いなものだが、3-3のアタックディフェンスの形のところに、さらにFWの位置から3人のディフェンサーをつけてやると、どうだろう?
そして6-3でターンオーバーまでと言ってやると、たいがいディフェンス側のほうが楽や、得やということで、ディフェンスにまわる者の方が多くなるのでは?

⑥ゲーム前の気合入れは、単なるパフォーマンス?

今、私が気になっているのは、ゲームの最初から、100%の力を出させるには、どうすれば良いかということである。
最近は、ゲーム直前に歌を歌い、大声で気合いを入れ、泣かんばかりの形相でグランドに出ていくプレーヤーをみて「気合入ってるな」と見ていると、ものの何分も経たない内に、あっさりトライをとられたりする。あれは何だったのか?ただのパフォーマンスだったのか?とがっかりすることがある。

ゲーム前の練習も、みんな揃って、いつもトレーナー主導で決まったことをやるだけ、試合に臨む気持ち、身体をつくっていくのは、各個人によって違うのではないか?
大昔のことを言えば、ゲーム前の気持ちのつくり方は各個人、ゲーム前の練習はキャップテンが主導、その時の敵に対して「今日はこのことを忘れるな」という意味で、その練習を直前にしたような記憶がある。

もともと日本人は農耕民族、ゲームの最初から100%を出せるように、じっくり準備をしたものである。
対して外人チームは、ゲーム前の練習は軽くウォーミングアップするだけ、そして、ゲームをやっている間にコンディションを整えながら、敵の情報も収集し戦い方を変えてくる。しかし、彼らは狩猟民族、そんな中でも何かあれば、瞬間湯沸かし器のように熱くなれる。
しかし、U20の外人チームを見ていると、ゲームの最初から100%でやってくる。外国も変化している。どのようにしてるのだろう?

「ラグビーは、心と体が連動するスポーツ」、ゲームの最初にどのように心をつくっていくか?
今の日本の若者の心のつくり方を、模索しているところである。

日本のラグビーを良くするために、何をしなければならないか?指導者の皆さん、現代っ子をを指導するのは大変だけど、熟考して正しい道に導いてやってほしいと、切望してやまないものである。
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No title
横井さん、コンバンハ。「かつや」です。
横井さんの熱の入った書き込みに
毎回グイグイ引き込まれています。

今回の書き込みの
③年に数回も練習しないサインや、ムーブを何故やらせたがるのか?
については
青春時代の後悔の念を思い出しました。。。

私が大学4回生の頃
ダブルクロスカラというサインプレーを何回も練習しました。
ラインアウト限定のサインプレーで
SOが第一CTBにパスをしたら
第一CTBがディフェンスにクルッと背中を向け
そこに第二CTBがクロスカラで内に走り込み、
その後SOがループカラで外に走り込む。
そして第一CTBは前を向き直し再び走り出すというものです。

まぁ 相手を撹乱させるのが目的といったサインプレーでしたが、
結局 一度も試合では使いませんでした(笑)。

試合中にこのサインを出しても
マイボールラインアウトが取れなかったり、
試合当日が大雨だったりと
日の目を見ないまま終わってしまいました。

その割には練習で時間を割いていたなぁ。
あの時間はすごく無駄でしたねぇ(笑)。

ところで遅くなりましたが、
小5の息子に過去問をやらせてみました。
結果は一問正解、一問不正解でした。

<サポートのヒント>で息子は
○の位置からロングパスをもらい突破を狙う
を選択していました。
□の位置からガットでもらって突破を狙う
の正解の理由を説明したら
結構納得していました。
特に縦のサポートの重要性は理解したようです。

<どちらがディフェンスしにくいか>では
A図を選んでいました(正解)。
息子曰く
「だってディフェンスしにくそうだもん」
とのこと。
その通りですね。

<どのようにしてミスをなくせばよいのか?>の文章は
息子と一緒にPCの前に座って読みました。

④キックを受ける時に落とす
の内容はなるほどと思いました。

息子もなかなかパントを取れないので
家の近所の公園でよく練習しています。

パントを取れない息子に対し
私なりに
「ボールを取る時、両脇をしめて、ヘソで受けるつもりでやってみぃ」
と言いましたら
その後高い確率でパントを取れるようになりました。
実際は懐で取れず
胸や顔で取ったりもしていましたが(笑)。

取りとめのない内容になってしまいました。

それでは。








No title
今の日本の若者の心のつくり方を、模索しているところで

10年ほどまえでしょうか?仕事の場で人への指示の仕方を変え、よく知らない人への助言はやめました。

問題解決にあたって「理屈/仕組み/原則」を示したうえで、「よくある勘違い」と「迷った時にもどってくる掴み所」をおしえて........。そんなやり方に全くピンとこない、「今日、いま、この目の前の問題の解決策を教えてください。知ってるのですか?知らないのですか?」と開き直るような人が多くなり、またそのことを恥じない風潮もあきらかです。私とは倫理が違うとしか言いようがないと、あっさりとあきらめた次第です。

ストレートランについても、どこかで、「捕球の少し前から投球の少し前までの間」さえまっすぐに走っていたら、その前後は気にしなくていいじゃないのってな事をいったら「ナガレ容認発言」みたいな話になって、練習をかえって混乱させてしまった経験もちょうど10年くらい前の気がします。

私は国外に住んでいることもあって、日本ラグビーがどうのって気が全くないのですが、代表が強ければそれはやっぱりうれしいですね。とりとめがありません。まあ、私への返信などにお時間を無駄になさらずに、若者と取り組んで下さい。

Re: No title
いいですねー。「親子がパソコンの前で、ラグビーについて語る」これぞ、家族でのコミュニケーション満点ですねー。あと「おかぁーさんにも参加して貰ったら如何?」息子さんのゲームを見る時に、役立つのでは、、、
Re: No title
国外に居られるので、若干感じられるのにギャップがあるかも知れませんが、今の日本の状況(ラグビー、スポーツだけじゃなく、社会全体が、、、)は大変厳しいのです。「真理」「倫理」「善悪」の認識が全く出鱈目で
誰かが「それはおかしい」と言わなければ、本当にダメになってしまうと思います。そんなことで、頑張っています。
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プロフィール

Yokoi Akira

Author:Yokoi Akira
横井章(よこいあきら)

ラグビークリエイター
現役時代は左CTB、ジャパン10年で17キャップ
    (当時は、キャップ対象試合が少なかった)

1968年、オールブラックス・ジュニアに勝利
1970年以降5シーズン日本代表の主将を務める
    (いまだに、歴代最長記録)
1973年、英仏遠征、日本ラグビー史上初の海外
     テストマッチ、当時世界最強のウェールズ
     と対戦、写真は、その時の幻のトライ
2000年、現場に戻り、100数チームにアドバイス

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