2011. 07. 15  
サッカー女子ワールドカップで、なでしこジャパンが、準々決勝でドイツを、準決勝でスウェーデンを「日本オリジナルなサッカー」で破り、決勝に進んだ。男子より先に、ワ―ルドカップでのメダルを確定したのである。
彼女らが世界に示したのは、小さい身体であるにも関わらず、果敢にチャレンジする「」と、身体を張ったディフェンスと、良く連携をとったスピードあるアタックである。
すなわち、日本人の特徴である、「目標に向かって、勤勉に、心と身体を鍛え」「敏捷性、巧緻性、耐久力を発揮し」「チーム一丸となって勝利をつかんだ」のである。
まさに、日本人の遺伝子を有する集団ということであろう。
キャップテンの沢選手は、15歳からジャパンに呼ばれ、今年32歳の不動のリーダー、今回もチームを牽引し、自身も得点王に並ぶ活躍をしている。小さい時から男子に交じってプレーし、その負けん気たるや、相当なものであったらしい。

ひるがえって、この事実から、ラグビースクールで、どう教えるかについて、考えさせられることはないだろうか?
ラグビースクールを観察していると、小さな子供の時から、既に
前向きに頑張れる遺伝子を持った子」と、「どうしても、そんなに競いたくない性格の子」というのが混在していて、しかしながら、遊べる環境は一つしかないので、仕方なく一緒に遊んでいるようにみえる。
そのように「玉石混淆のタグラグビー」では、どういうことが起きるかと言えば、上手な子は、ドンドン抜けてトライする。但し、味方にパスする程の距離もなくトライできてしまうので、いつも単発、いわゆる「自己中プレー」であり、他を思いやるということはない。その他の子は、ただそれを見ているだけで、上手も下手も、みんな一緒に「遊び」を楽しんでいるようにも、見受けられない。
すなわち「やる気」を引き出すのは大変なことで、やる気のある子とやる気のない子を一緒にやらせれば、安全上も、スキル向上の上でも、結局は低レベルの方に合わせてやらねばならないということにならないか?

要するに「ラグビーをうまくなって、将来15人制ラグビーをやりたいと思っている子供」には、「悪い癖ばかりがつく遊び」をやっていることになり、「ラグビー選手になりたいとも思っていない子供にとっては、ますますラグビーが面白くなくなってしまい、楽しく遊ぶことさえ出来ない」というようなことになって、双方ともに良い結果になっていないのではないか?
まあ、子供だから、そこまで考えていないだろうが、このまま放っておくと、素質のある子は、勝手気ままにプレーする「ハナ持ちならないプレーヤー」に育ってしまう傾向が、ますます強くなっていくような気がする。

メッシが言うように「うまくなりたいと、強く思え」なんて、「そう思っていない子には、言っても無理であり」、逆に、「そう思っている子には、少々面倒くさくて、シンドイことでも、ちゃんと納得させれば、練習させることが出来、自分で考えてやらせることも出来るかもしれない」すなわち、「サッカーでは、個人技だけうまい選手でも、使い方で、ある程度使える」かもしれない。
しかし、サッカーより上等なラグビーというスポーツでは、フェアプレーの「精神」、味方を思いやり、痛い怖いを克服出来る「」の醸成など、きっちり教え込む必要があり、「その気のない子供」に教えるのには、無理があるように思える。

そこで、こんなことは考えられないだろうか?
即ち、「人間は既に自分が持っている遺伝子により、考え方、性格、身体・身体能力の伸長度などが、決まっている」ということを是として、個人個人に合致した教え方をした方がよいと、考えるべきではないか?
まあ、実際問題は、今ラグビースクールを世話するのに、1グループでも難しいのにということであろうから、少なくとも、「その気のある子と、そうでない子」の2グループに分けて、本当にやる気のある子のグループに対しては、遊びのラグビーじゃなく、初めから「15人制ラグビーをするのに有益なラグビーの基本をきっちり教える」という考え方は如何?

すなわち、「タグラグビー、タッチラグビー」という流れのグループと、「正しい15人制ラグビーを目指す」グループを、初めから明確に分け、中学校でも15人制ラグビーを復活させ、人数がいなければ、地域合同チームの組織化をさせるなど、整備された環境下で「正しい15人制ラグビー」が、「正確に、緻密に」行われることを目指すというのは如何?
現在「中学校の15人制復活の動き」があるやに聞いているが、こういった思い切った改革なしには、「正しい15人制ラグビーの復活」はあり得ないのではなかろうか?

しかし、こんな「暴論」には「差別」だとか「平等でない」とか唱えて「反対」するなど、賛否両論があるだろう。だが、ただ黙ってて「変だな」と思うことを変えようとしない限り、改革は出来ない。
また、もういい加減、「中流の下」の幸せを等しく満喫した日本人は、このままでは、その中流の下自体がレベルダウンして「下流」になってしまうのではないか。そして昨今、そのハングリー精神で日本に追いつき、追い越しつつある「インド、中国、韓国」などの後塵を拝することになるのではないか?
さらに、もっと恐れるべきは、努力しなくても生きられる、「努力」というものの価値がなくなって仕舞う。そんな社会だけにはしたくない。「努力は裏切らない社会こそ、公平な社会ではなかろうか?」
一旦緩んでしまったものを「直せ」というより、「努力が報われる社会」を目指す方が、早道ではないか?と思うこの頃である。



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No title
おっしゃることには100%賛成ですが、誰が「その気のある子と、そうでない子」の2グループに分ければよいでしょうか?(子どもたちの将来に完全には責任を負い切れない)コーチの独断?ラグビーをしたことのない保護者?あるいはまだ、ラグビーがどんなスポーツかを完全に理解していない子どもたち自身?いかがでしょうか?
Re: No title
そりゃ当然、本人に希望させるのです。どんな小さな子でも、本人の意思で決めるさせることこそ、重要なのです。そして、そのための練習を明確にわける、そしてやらせてみて、本人がまた判断する。即ち、そこで「やる気」を再確認すればよいのではないでしょうか?そうすると、皆遊びの方に行く?それはそれではっきりしてよいのでは、、、だから私は、ラグビーはある程度成長した人がやるべきスポーツと言っているように、「ラグビーがどんなスポーツかを完全に理解していない子供には、やらせない方が良い」と言っているのです。また「やる気を起こさせることを全員に向けてやることは非効率、やる気のある子供にだけ、正しく教えれば如何?」と言っているのです。
No title
ありがとうございます。おっしゃるとおりですね。自分の考えも少し整理できました、ありがとうございました。申し遅れましたが、いつも含蓄のあるブログを楽しみに拝見させていただくとともに、大いに活用させていただいているつもり(?)です。今後も勉強させていただきます。
No title
読ませていただきましたが、いったいどこの『タグラグビー』を観て判断されたのかをお聞きしたいものです。少なくとも平成14年度から全国に先駆けて学校体育の選択科目に採用し10年後の現在352校中250校以上が採用している横浜市ではありえないことです。少なくともチームでトライを取りに行くことが大原則で行われています。男の子だけでその学校やスクールの上手な子ばかりを集めても横浜の大会では決して優勝できないし、勝つことも出来ません。全国大会7回中4回を制しているのは足の遅い、球技の苦手だった女子ですよ。つまらない話かもしれませんが、横浜の書店で毎月2冊しか置いていない『ラグビーマガジン』、タグラグビーの普及が進んで以降、12冊置いてあります。これも普及ではないでしょうか?子供達は『タグラグビー』と『ラグビー』の線引きをしません。当たり前のようにラグビーを始めます。差別、線引きをするのはタグラグビーにかかわりの薄い大人ばかりです。生意気のようですが、私が13年間タグラグビーに関わってきた意見です。昨年度で10万人以上の子供達に『タグラグビー』つまり楕円球を知ってもらいました。
Re: No title
そりゃ、結構ですねー。それで、お願いですが、あの「タグ」をもう少し低い位置につけるということは出来ないのでしょうか?ラグビーをやるには、「低い姿勢が出来る」というのが大事なことなので、そこを改善出来れば、将来ラグビーをやる際に役立つのですが、、、また、一人で走り切らないよう、「抜けても3m以上一人で走らない」といったことを、ルールに盛り込んで貰うというのは如何?などなど、将来の15人制ラグビーに有益な改善を検討頂けると、より結構なんですが、、、
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Re: 10人制や12人制は如何でしょうか?
今後のブログ記事を参照して下さい。
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プロフィール

Yokoi Akira

Author:Yokoi Akira
横井章(よこいあきら)

ラグビークリエイター
現役時代は左CTB、ジャパン10年で17キャップ
    (当時は、キャップ対象試合が少なかった)

1968年、オールブラックス・ジュニアに勝利
1970年以降5シーズン日本代表の主将を務める
    (いまだに、歴代最長記録)
1973年、英仏遠征、日本ラグビー史上初の海外
     テストマッチ、当時世界最強のウェールズ
     と対戦、写真は、その時の幻のトライ
2000年、現場に戻り、100数チームにアドバイス

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