2011. 09. 24  
ジャパントンガ戦の感想を続けよう。

前回書いたように、ジャパンは「ゲームの入り」が悪くリードされたが、その後13分に「モール」で一矢を報いた。この「モール」でのトライについて「超スローなラインアウト、そしてモールのごり押し」と、あたかも「ダサイ戦術」のように言う人がいるが、モールはルール上、複数で結束して戦える唯一の手段であり、一対一で負ける日本人は絶対やるべき戦術である。勝負は、ダサかろうが何だろうが、勝利至上主義で行くべきであり、そして、現実に
トンガ相手に取れたのだから、このように敵陣に入って「モールでトライを取りに行くこと」を徹底すれば良かったのである。
しかし後半、トンガがこのモールに対する防御でシンビンを取られ、一人少なくなった60~70分の間、ジャパンは、ラインアウトモールでとるチャンスが何回もあったにも関わらず、押しきれなかったり、諦めて他のラインアウトサインで攻めて、トライを取り切れなかった。もっときちんとトライをとりきれるくらいの「強いモール」及びゴール前の「複数人押し込み」を、練習しておくべきであり、モールに拘って攻めるべきだったのである。

余談だが:中日の落合監督が今シーズン限りでやめるという。彼の話で有名なのが、2007年の日本シリーズ、8回まで完全試合を続けていた投手から9回抑えの投手に変えて、1-0で勝ち、中日を53年ぶりの日本一に導いたが、個人記録を無視した勝利至上主義に、論議をよんだ。しかし、私はそれでよいと思う方である)

そして、この13分のモールトライの後、トンガキックオフであろうことか、「ノーホイッスルトライ」を献上。同じように、26分リーチが素晴らしいトライをした後のキックオフでも、またペナルティゴールを決められて、点差が詰められなく、前半1318のビハインド。折角点を取ったのに、 すぐとり返されるというのは、プレーヤーの意識の問題である。

また、後半の「ゲームの入り」も悪く、受け身になって約8分間も連続攻撃を許し、結局PGで13-21と離され、55分には、トンガがキック攻撃からうまくつないでトライして、13-28。63分ジャパン敵ゴール前からアリシがトライしたが、ゴールキックが前半の2回も合わせ3回ともゴールならず18-28。66分トンガがスクラムで圧力をかけてペナルティを獲得、ゴールを決めて1831と逃げ切られたのであった。
ここでは、プレースキック不確実性が、大いに関係しており、この点でも、チームとしてどれだけ重要視して対策していたかの疑問が残る。

さらに、ジャパンの問題は、「ミス多さ」と、「テンポ緩急」の問題である。
先日、宿題として出していたように、ベスト8候補のチームとそれ以下のチームの「相違」というのは、チャンスに最後までパスをつないでトライを取り切るか、どうかの差であり、上位チームが出来ているのは、サポートが縦に連なっていて、ボールをガット、或いは短いパスで素早く、正確に動かしている場合が多いということに対し、それ以下のチームは、ゲインを切ることなく、ただただ横へ広くつなごうとしてミスっていることが多いということである。

また、「テンポの緩急」というのは、何が何でも早いのが良いのではなく、最も重要なのは、その「早さ」をどのシチュエーションにより、どう使うかということなのである。前にも話したことがあると思うが、例えば、「敵ゴール前近づけば近づくほどじっくり攻める」「敵ゴール直前のラストパス確実性がなかったら、ラックにして敵オフサイドを確定し攻める」など、「緩急」を場合により「コントロールする」必要があり、また、フィットネスの差がある場合には、自陣ではゲームを切ってテンポを遅くし、敵陣に入れば早くする、但し外国のチームはペナルティに早く下がるし、外国レフリーナットテンはあまりとらないことからして、Pゴーは状況を見極める必要があるなど、シチュエーションに応じ緩急の使い分けが、チーム全体の共通認識として、 出来ているかが問題であり、この点についても、ジャパンはまだ不十分であると思われるのである。

27日の最終戦・カナダ戦に対し、以上のような点に関し、どれほどの修正ができ、戦ってくれるのか、期待したいものである。


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Comment
No title
かねてから感じていましたが、日本代表に限らずどうして状況、必要性にかかわらずスピンパスをするのでしょうか。海外のプレーをみても状況に応じ使い分けています。代表のミスの多さは敵、味方との間合、距離に関係なくスピンをかけることが大きな原因のひとつと思います。相手の懐に飛び込む接近戦ではスピンは投げられないでしょう。
日本代表はこの戦法を考えず、間合いのある攻撃法しか取らないのでしょうか。間合いの長い距離での走力に劣る日本のBKの攻撃は大西先生の理論が通用すると考えます。
また、SHはできるだけ早く投げるべき時でも、スピンのためスィングしその分時間が遅くなっています。NZの選手でさえダイブすべきは行っていました。
日本人でもスピンで投げられるようになったのですから、加えて、特性である俊敏性をいかした、今里選手のような早いプレーをすべきです。
40年以上日本ラグビーを見守っている小生にとって、これだけFWがボールをとれ、キープできるのにトライが取れないことは信じがたい。世界も大きく進化しても余るものがあると思います。 戦術、戦法、技術の使用の選択が誤っているとしか思えません。 
’73年の横井さんの英仏遠征のときキックが入らなっかたり、タッチに届かなく逆襲されたりし、悔しい思いでTVをみていましたが40年経た今大会でも同様で残念至極です。
必要な技術の使い方を今一度見直すべきではないでしょうか。
Re: No title
> ご指摘からは、だいぶ年配の方と思いますが、例えば、現在のラグビー現場では、ボールを受ける際から、スピンパスをする手の形で受けるという現実を見て、どうすれば良いか考えるなど、現場の実情をよく観察して、考えて下さい。
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プロフィール

Yokoi Akira

Author:Yokoi Akira
横井章(よこいあきら)

ラグビークリエイター
現役時代は左CTB、ジャパン10年で17キャップ
    (当時は、キャップ対象試合が少なかった)

1968年、オールブラックス・ジュニアに勝利
1970年以降5シーズン日本代表の主将を務める
    (いまだに、歴代最長記録)
1973年、英仏遠征、日本ラグビー史上初の海外
     テストマッチ、当時世界最強のウェールズ
     と対戦、写真は、その時の幻のトライ
2000年、現場に戻り、100数チームにアドバイス

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