2017. 07. 09  
最近、『現ジャパンの戦略、戦術』についての日本メディア論議が姦しいが、何度も申し上げている通り、『ラグビーの戦略、戦術の変更』なんてものは、それ以前の『身体、身体能力基本スキル、ゲームへの理解、瞬間的な判断能力』などなど、人間のあらゆる能力向上の上に積み上げられるモノであり、そんな生易しいものではないのではなかろうか。
すなわち、少なくても多くの時間がかかるのであり、その現場を預かっている現場のご苦労を思えば、評論家やメディア現段階で、『戦略、戦術の変更失敗』などの論議をするのは、失礼な話であり、温かく見守ってあげるべきではなかろうか。

また、前コーチの功績云々についても、若干違った理解もあるようで、『ラグビーというモノは、本当に奥深いモノで、表面に現れていることだけでは語り尽くせないこともある』と認識して、慎重に論議すべきものではなかろうか。
たとえば、2015年ワールドカップ時の南アに対する勝利は、全てがすべて前コーチが落とし込んだ戦略、戦術が、 合致していたわけではないだろう。最後のトライは、グランド内のキャップテン以下プレーヤーの判断でスクラムを選択したのであって、前コーチは『ショット』と叫び、勝てるとは思ってなくて同点引き分けを目指していたのではなかったか。
またアタックは『ボールを深く下げるシェイプ』を推奨していて、現に、 3日空いた時期に、スコットランド分析、対策されて勝てなかったのではないか。「南ア相手に、ジャパンBKフラットラインでボールを細かく動かし、最後に五郎丸がトライしたのは、プレーヤー自身がやったものではなかったか。

現に、先日のイングランド対アルゼンチン戦ででも見られるとおり、エディがイングランドコーチになって、『前へ出るディフェンス、フラットラインでボールを早く動かし縦サポートしてトライする、前パスを使ってトライする』などは、ジャパンのプレーヤー良かったところを、持ち込んでいったから、現在までのイングランドの好成績生まれたのではなかろうか。

とにもかくにも、現場には現場の事情があるのであり、周辺から尚早にガヤガヤ言うべきではなく、現場スタッフが気持ちよく仕事に専念できるように、周辺の環境整備にこそ、意を注ぐべきではなかろうか。
以上、何においても自虐趣味は止めて、もっと日本のやり方に自信を持つべきではないか。老爺心までに、、、


2017. 07. 07  
日本のラグビー史上、初めて日本国代表として、統一された戦略、戦術の「展開、接近、連続」を携えて、1960年~70年代世界のラグビー界に、『オリジナル性豊かなJapanese style rugby』を披露し、その存在を大きく示した全日本チーム』の足取りを47回にわたり書いてきたが、この10数年にわたり、力を合わせ切磋琢磨して来たチームメイトも、特にBKプレーヤーは年令もかさみ、次世代にバトンを渡すべきと、私も国代表引退を申し出たがキャップテンの私だけは、それが許されずに、 『次世代への橋渡し役』として残れと、『1974年5月第2回全日本NZ遠征のキャップテン』の命を受け赴いたのだった。

そこで、早々にゲームの出場は、 若手中心に任せて行き、遠征中の練習を通じて、『ゲームマネージメント、および接近戦の伝承』に意を注ごうとしたのだった。
しかし、当時のBK若手は、私達より走力がありながら、例えば「基本スキルのタックルは姿勢が高く手で捕まえに行くといった感じ」で、「下のボールへの働き掛けで重要なセービングも、ぎこちなく」、パスやキックなども雑で、「こりゃ、基本スキルを初めから鍛え直さないと、、、」と感じたものだった。
さらには、まさにジェネレーションギャップで、「ゲームマネージメントも、シッカリ段取りよく実行するようにと落とし込もうとしたが、例の『フィーリングですよ、、、』といった感じで、、、」、遠征中の短い、切れ切れな時間では、とても伝えられるものではなかったように思ったモノである。

そして、この遠征から帰国した後は当時、当然アマチュアだった私は、 「長年にわたり会社に迷惑をかけたと」いうことから、ラグビー関係からは一切退き会社業務に復帰、専念する」ことにしたのだった。
そして20数年、「スポーツはやるモノ」で、やらないものには全く興味がなくなっていた私は、「ラグビーのゲーム観戦どころか、テレビ中継すら見たことがないという日々を送っていたが、会社定年の間近になって、『暇になったら何をしようかな』と考えた時、やはり「お世話になったラグビーへの恩返しか」と考え、ようやく最近のラグビーはと、テレビ中継を見始めてみて、「なんじゃこのラグビー」はと、唖然としたのである。
この続きは、次回に、、、


2017. 07. 02  
ちょっと間が空いたが、『1973年の全日本初の英仏遠征』について、またチームを引っ張って行かねばならぬ『キャップテン』としての任にあたって、当時に感じたことを書いてみよう。
まずは『国代表のテストマッチのステイタス』と、『その勝利に対する溢れんばかりの渇望、および厳しい戦いぶり』に圧倒される感があったことだった。
初めてNZ海外遠征した時の『物見遊山的な気分』は一掃されて、「真に国を代表して、勝ちたいと思い、勝ちに行かねばならぬと心底思った」素晴らしい経験を、させて貰った。

ラグビーについては、身体および身体能力差を予想 し、 準備した『ジャパンオリジナル接近、連続、展開戦法』は、十分敵に通じて、その威力を誇示したが、一方敵側との予想以上の身長差、走力差を利 したプレーでの差、およびジャパンに対する情報収集と、 対応策実行の早さ的確性などに、大いに驚かされた面もあり、ラグビーに対する歴史の差も感じられた。

特に、今後のジャパンとして対策しなければならないと思われたのは、20~30%に終始した『ポゼッション向上策』で、セットプレーのマイボール獲得は勿論、敵ボールへの競り、また新たな脅威となったモールへの対応策などであり、さらには、『ブレークダウンでのボール奪取の方策検討』が、課題となった。

さらには、フランスでウェールズとの両国ジュニア戦を観戦する機会があり、「その際走力に勝るフランスが『アップドリフト・ディフェンス』で、『ウェールズの深いラインの外展開ラグビー』を破ったのをみて『新しい敵アタックに対応したディフェンス修得の必要性』を感じたのだった。

それでもなお、ジャパンオリジナル武器として、今後も活用できると大いに自信を持ったのは『守備の接近であるシャロー・ディフェンスと攻撃の接近である接近アタック』で、この『緻密計画されて、よく鍛錬ミスなく完遂できた高度な組織プレー』は、この時代でも、世界の最先端を行っているのではないかと、感じたものだった。


2017. 06. 29  
前回の記事では、まさに世界ランク3位の実力を披露した素晴らしいチームアイルランドについて書けてなかったので、そのことに触れてみよう。

今回来日のアイルランドは、昨年11月に、テストマッチ18連勝を続けていたNZオールブラックス連勝を止め今年には、NZと同じく18連勝を続けていたイングランドとのシックスネーションズ最終節の対戦で、連勝を止めたということから、相当な実力とは思っていたが、その実際の戦いぶりを初めて見て、予想をはるかに超えた『強さ』に驚かされたのではなかろうか。

たとえば、第2戦最初のトライ、ジャパンのバウンドしたミスパスインターセプトしたモノは、日本のメディアは『アンラッキーなトライ』と書いているところが多かったが、とんでもない。あれはインターセプトを狙って出て来たのではなく、チャント意図して前へ出て来た素晴らしい出足のディフェンスであり、パスコースに入ったから出来たトライで、あれだけのディフェンスが出来るということは、『出足の瞬発力適切なコースの抑え方、さらに、 あの場面ではなかったが強烈な芯を捉えたタックル』が出来ることを示しているのではなかろうか。現にジャパンの『多フェイズアタック』を、ほとんど止めた。

逆に、アイルランドの『多フェイズアタックは、複数人の押し込みで、確実に前進し、20数次もミスなく実行し、確実にトライに結びつけたモノ』ではなかったか。あのアタックには、『複数人の固まりをつくれるというフィットネス、バインド力があるということであり、また不確実なオフロードを避け確実にラックにして進み、それでトライ出来れば、それで良し』、 あるいは、『抜けた場合には、縦のサポートで、両手でボールを扱い確実にラストパスをつなぐといったことを、全員が判断して完遂できるレベル』まで鍛えられていることが窺えるのではなかろうか。

すなわち、『非効率な多フェイズアタックでも、絶対にやり抜くんだという堅い信念と、繰り返しの鍛錬完遂出来るようにしたわかっていても止められない域にまで進化させたモノ』にプレーヤー全員が理解し、実践出来ているということではなかろうか。

このレベルに、ジャパンが、『2年間で追いつけるのか?』、今のジャパンの問題は、『戦略戦術などの生易しいことではなくそれ以前の問題である・前記アイルランドプレーヤーの全員が身体、身体能力、およびラグビーの理解力、判断力を鍛え上げチームとして達しているレベルにまで追いつけるか』ということではなかろうか、非常に厳しいものと思われるが、挑戦するしかないだろう


2017. 06. 25  
44年前テストマッチの様子を書いている時に、昨日、『現ジャパンのテストマッチ・対アイルランド戦』が行われた。
40年前とは変わったなーと、感慨深いのは、『情報戦の様子』であり、「その情報の量と、その活用の良し悪しで、いろいろなことが惹起する面白さ」も、 あるのではないだろうか。

たとえば1968年全日本NZオールブラックスJr勝利した際は、NZでは『全日本が彼らが想像だにし得ない前へ出るディフェンスをする』という情報はなかったから、面食らったということだったろう。同じことが2015年ワールドカップで、ジャパン南アフリカを破った際には、南アがジャパンをなめて居て、情報収集、準備を怠ったため苦杯をなめた。しかし、3日空いたスコットランド戦では、指摘したとおり地元のスコットランドは、多数の分析員とドローン?などの分析術を駆使して3日間でジャパンを丸裸にし、すぐに対応策を練習して、快勝したのである。

そして1971年全日本のNZ遠征の情報を聞いたイングランドが、全日本のディフェンスを怖がってFWで勝負してくれた結果、全日本FWが健闘して接戦出来た。しかし1973年全日本英仏遠征時には、当時世界最強のウェールズは、「全日本の前へ出るディフェンスに対して、深いライン走力で振り切れると判断、その情報収集と準備を怠った全日本は完敗。しかし左程、情報収集してなかった?、また身体・身体能力の差が少なかったフランスには、善戦できた

だが今回2015年ワールドカップ以後、対ジャパンへの情報収集が進み、「敵ヘッドコーチが、ジャパン選手の個人名をあげて警戒心を披露する」など、良く研究されて来ていることを考えなければならない状況であったことがわかった筈。そこで懸念されるのが日本のメディアラグビー評論家などの対応ではなかろうか。
スポーツでは「情報の取り扱いも、一種の駆引きになるもの」、日本の記者がゲーム前に、日本のスタッフに根掘り葉掘り聞き出したり、その情報を掴んだからと言って、「何でもかんでも披露すれば良いというモノではない」ということを、心掛ける必要があるのではなかろうか。

またラグビー指導者が考えなければならない戦略戦術的なモノについては『わかっていても防げないといった ・ 確固たる信念鍛錬により、ティア1の強豪に対しても確実に完遂できるモノ』が、求められるのではなかろうか。


プロフィール

Yokoi Akira

Author:Yokoi Akira
横井章(よこいあきら)

ラグビークリエイター
現役時代は左CTB、ジャパン10年で17キャップ
    (当時は、キャップ対象試合が少なかった)

1968年、オールブラックス・ジュニアに勝利
1970年以降5シーズン日本代表の主将を務める
    (いまだに、歴代最長記録)
1973年、英仏遠征、日本ラグビー史上初の海外
     テストマッチ、当時世界最強のウェールズ
     と対戦、写真は、その時の幻のトライ
2000年、現場に戻り、100数チームにアドバイス

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